キッチンソングス・ゴロクA 〜Keats〜
 山鳩はいったいどこを飛び回っていたのか、 すっかりここを留守にしてしまいました。 こんな時は反省を込めて、初心に帰ることにしましょう。 ファーストアルバムからのキッチンソングス・ゴロクです。
 アルバムのタイトルチューンになっている「Boots&Keats」という歌を作ったのは、 私が東京に出てくる直前の冬の日でした。 あの時は確か風邪を引いていて、それでも新しい生活への期待にいてもたってもいられず、 布団にもぐりながら作った覚えがあります。 (ただグータラだっただけかしら?)
 ところで「Boots&Keats」とは何ぞや。 ブーツはウエスタンブーツ、キーツはイギリスの古めかしい詩人のことであります。 言い換えれば「アクティヴ&ロマンティック」でしょうか。 そんな二面性を持って、新しい生活を始められたら素敵だな、という思いで作りました。
 そのキーツさんという詩人は1795年に生まれ1821年に若くして亡くなりました。 大きな夢見るような輝く瞳、だったかどうかは分かりませんが、 随分と情熱的で甘美な恋の詩を残しています。 「ああ!かくも美わしい姿を 誰が忘れようか。」なんて、 なかなか言えるものではありません。
 そんなキーツさんのロマンティスト振りを見習った?私の詩の書き出しはこうです。

 昼と夜が向こうで 少しだけ抱き合って
 長い 長い 一日のため息が降りてくる
 こんな夕べに あなたに会えるなんて


そして、後になって見つけたキーツさんの「空想」という詩の一節です。

 「夜」が その空から
 「夕べ」を追い出す 暗がりの
 謀りごとをして 「昼」と出会う
(出口保夫訳)

お!ちょっぴり似てる。
と、自己満足にふけったのでした。
eiko



バックナンバー
No.01
No.02
No.03
No.04
No.05