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No.03


あかとくらす
 我家には“あか”という名の犬がいます。 今年で10才の彼女は、私が来るよりも前からこの家に住んでいます。 長い耳毛と澄んだ大きな目はどこか哲学的で、なかなかの美人(犬)です。
 あかを育てたのは一緒に暮らしている友人ですが、根気よく話しかけながら育てた成果か、 あかは人の話をよく聞きます。誰かがけんかしたり、怒られたりすると心配して間に座り、 まるで両方の言い分を聞いているかのように見つめます。 (おかげで何度救われたことか!)
 いびきをかき、寝言も言う彼女は、眠りながら四本の足をピクピク動かすことがあります。 子供に戻って草原を走っている夢でも見ているのでしょうか。 あかがくれる幸せは測り知れません。 いつまでも元気でいて下さいね。


くらげとくらす
 我家には“くらげ”という名の猫もいます。 理由は分かりませんが、生まれたばかりで親とはぐれてしまった彼は、二年前、 近所の家の縁の下で必死に鳴いていました。 その声を見捨てることが出来なくて、我家の一員とあいなったのですが、 それからは6時間に一度の授乳、犬のあかも下の世話に加わっての子育て奮闘記でした。 たった220gの片手のひらに乗るほどの小さな体が、 今では屋根をドシドシ歩く、立派なポッチャリ型になりました。
 人の話をよく聞くあかとは対象的に彼はいたってマイペース、好きな時に自分で玄関を開けて出かけ、 お腹がすくと家の外の壁をガリガリひっかいて「入れてくれ」と言います。
 困るのは、夏になると活きのいいセミを捕まえてくること。 部屋を飛び回るセミを見ながら得意顔の彼に私たちの困惑は届きません。






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