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No.05


キッチンソングス・ゴロク
 3月27日、私の4枚目のキッチンソングス「シンシアリー・ユアーズ」がリリースされました。そこで、この機会に今まで発表してきたキッチンソングスの歌詞のお話をしたいと思います。
 「歌詞」を書くこと、これはとても不思議な作業です。ある時は水が流れるがごとく、自然に言葉が生まれることもあれば、幾つもの夜を「うーん、うーん」とうなっても何も出てこないこともあります。曲と同時に詩が浮かぶこともあるし、日記に書き止めた言葉がそのままメロディーに乗ることもあります。
 いつも、なるべく素直な言葉で大切な人や想い出を浮かべながら書いています。それでも時に、象徴主義とまではいかないけれど、少々珍しい言葉を使って気持ちを例えたくなることがあります。そんな「キッチンソングス・語録」を書いてみようと思います。


キッチンソングス・ゴロク@ 〜Vida〜
 まずは新しいアルバム「Sincerely Yours」から「vida」という言葉を。これはポルトガル語で「人生」「命」を表す言葉です。英語では「Life」、フランス語では「Vie」にあたります。「ヴィーダ」という語感が、胸に心地よく響いて、いかにも命の鼓動を表しているように感じます。
 この言葉に出会ったのは、ブラジルの女性シンガー、ガル・コスタの「Minha voce minha vida」(私の声、私の人生)という歌です。カエターノ・ヴェローゾという男性シンガーソングライターの書いた曲で、ガル・コスタの美しい声に人生を重ねた珠玉の名曲です。私にとっては、キッチンソングスを少しずつ、作り続けてゆくことがささやかな「vida」です。






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